MEセンターの紹介
臨床工学技士(ME)とは、医師の指示のもとに「生命維持管理装置」の操作および保守点検を行うことを業務とする者のことをいい、病院内にある医療機器を扱う仕事を行っています。医師の指示に従って医療機器を使用、あるいは医療機器がはじき出した結果を医師に提出など、医師の片腕とも呼ばれる医療機器の専門家です。それは治療するための機器だったり、生命を維持するための機器だったりします。臨床工学技士は医学と工学における両面の知識を持ち、生命維持管理装置の操作や保守点検の業務を行い、患者さんおよび医師、看護師等の病院スタッフが安心して使用出来るよう努めております。
主な業務内容
MEセンターの様子
- 血液浄化業務
- 呼吸治療業務
- 機器管理業務
- 心・血管カテーテル業務
- ペースメーカ業務
透析業務
透析センター内で腎臓の機能が低下した患者さんへ血液透析・血液ろ過など治療を行っています。透析センターでは、開始時の穿刺から終了時の回収作業までの臨床業務、透析装置の点検・修理等の機器管理業務などを行っています。透析センター内に臨床工学技士が常在しているため、機器のトラブルなどには早急に対応出来ており、透析を行うにあたって必要となるベッドサイドコンソール、透析液供給装置、透析液粉末溶解装置、RO水製造装置などは毎日点検し、部品交換を含んだ定期点検を行っています。透析効率の算出やシャントスコアを用いたシャント評価なども積極的に行っており、医師や透析スタッフと患者情報を共有し、カンファレンス等を行うことにより、透析条件の検討やシャントトラブルへの早期対応が実践されております。
2012年より新たにOnline HDF治療ができるコンソールを4台導入し、OnlineHDF治療ができるコンソールを導入しており、今後、順次導入していく予定です。Online HDFでは、体内に透析液を投与するため、従来の透析では抜けにくかった物質を除去でき、血圧低下や痒みを抑えるなどの効果が期待できます。しかし、Online HDFを実施するためには透析医学会が定めた高純度の透析液を維持する必要があるため定期的に水質検査を行い、透析機器安全管理委員会で洗浄工程や消毒液の検討などを行い、より一層水質管理に力を入れています。
また、患者さんの状態に合わせ、透析センターや集中治療室で血漿交換やLDL吸着、腹水濾過濃縮再静注法(CART)、エンドトキシン吸着(PMX)なども行っています。その他にも、全身状態が悪い患者さんやショック状態にある患者さんに対し、24時間体制で持続的腎代替療法(CRRT)を行っています。
呼吸治療業務
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された患者さんには閉塞性の方と中枢性の方がいらっしゃいます。両者とも陽圧換気療法を行うようになり、睡眠時、マスクを装着していただきます。
閉塞性の方は機械からマスクを介して送られてきた空気により、常に圧力をかけられ空気の通り道(気道)が塞がらないようにします。患者さんが初めてでも不安なく安心して使っていただけるよう、機械・マスクの使用の仕方、考えられるトラブル時の説明などを行っています。
中枢性の方は入院時に導入することが多く、吸気時と呼気時で機械から送られる空気の設定圧が違います。臨床工学課では様々な検討を行い、設定圧の検討や導入時の使用時間など患者さんと意見を交わしながら行っています。それにより、患者さんが自宅に退院されてからも継続的に使用できるよう努めています。
また、外来通院になられてからも、診察時にデータ解析を行い、患者さんから直接状態をお聞きしています。それにより、医師と連携がとれ、早急な対応ができています。
人工呼吸器を使用する際には、圧縮空気と酸素が必要です。当院では人工空気の配管を設け、人工呼吸器を使用する患者さんへ高純度の空気が送られます。使用中の人工呼吸器は、毎日のラウンドにて動作中点検を行い、トラブルを未然に防ぐよう努めております。
当院には多職種で形成された呼吸ケアチームがおり、臨床工学技士もチームの一員として活動しています。週一回人工呼吸器の患者さんの元へラウンドし、カンファレンスを実施することで、人工呼吸器の早期離脱を目指しています。
機器管理業務
医療機器の有効利用を図るため、人工呼吸器・輸液ポンプ・シリンジポンプ・フットポンプなどの院内で共通使用される機器を中央管理し、貸出管理、点検・修理、部品管理などを行ない、問題の発生を未然に防ぎます。また、病棟や各部署に設置されている医療機器(除細動器、麻酔器、補助循環装置等)も臨床工学課が管理し、点検などを行っています。
問題が発生した機器は交換・回収し、点検・修理、機械メーカーへの修理依頼等を迅速に行います。
また、安全性の向上のため新規機器購入時の評価、医療スタッフへの安全教育等を定期的に行っています。
循環器業務
心臓カテーテル検査を行う血管造影室での臨床工学技士は、主にバルーン等のデバイス類の物出し、補助循環装置の操作・管理、ポリグラフの操作などを行っております。心臓カテーテル検査での緊急時には、PCPSやIABPなどの補助循環装置の迅速な導入が求められます。臨床工学技士全員が対応できる様、勉強会やプライミング練習などは定期的に行っています。
また、カテーテル検査後は冠動脈造影のデータをもとに解析を行っています。それにより、過去の患者情報をカテーテル検査に関わる全てのスタッフが閲覧でき、情報共有が行われています。
ペースメーカ業務
ペースメーカ埋め込み術の際には患者情報を収集し、モードや出力設定などを行っています。埋め込み後も後日チェック、一週間後チェックなどを行い、通院になられてからも定期的なフォローアップ検査を行っています。患者さんが安心できる生活を送れるよう、医師と共に十分説明し、敏速かつ正確な検査ができるよう努めています。
埋め込みの際の情報や外来での検査結果も臨床工学課で管理保存しており、夜間や緊急時にも対応できる体制をとっています。