はじめに

当院では2009年以来、野萱純子医師が「女性漢方外来」を県内で最初に開設しており、2018年8月より、がんをはじめ幅の広い医療に対処出来る「漢方専門外来」を追加開設いたしました。1週間に2日間、本格的な漢方外来を行っております。紹介はなくてもどなたでも受診していただけます。

「がん」

我々の体はおよそ60兆個の細胞から構成されています。常にいろいろなリスク要因によって遺伝子に異常(変異)が起こっています。遺伝子異常を引き起こす生活要因として、よく知られているものでは喫煙や飲酒等があります。これらに遺伝的危険因子が組み合わさった時に多くのDNAに損傷が起こり、その結果「肺がん」や「食道がん」等のがんになる頻度が高くなります。このようにがんも遺伝子異常によって生ずる病気なのです。
他方これらがん細胞を攻撃し、殺すリンパ球が体内で存在しています。体の免疫力が弱っている状態ではがん細胞は生き残り増殖します。すなわち弱った免疫機能では対処できなくなり、がん細胞は急激に増加してがんは増大していきます。直径が10cmくらいのがんになると数1000億個から1兆個のがん細胞が集まっています。
だからがんは早期発見、早期治療が必要となります。治療法は主に「外科治療」、「放射線治療」、「化学療法」に最近は第4番目の治療法として「免疫療法」が世界的に注目されています。免疫療法とは、がん患者さんの弱った免疫システムに直接働きかけてリンパ球を活性化させ、がん細胞を殺させるのです。今後は、がん患者さんのすべての遺伝子を解析するための人工知能という技術が必要となります。求められた膨大な遺伝子情報の中から、更に人工知能に個々のがん患者さん(個別化)にヒットした薬を見つけ出させた結果、治療効果も上がり、副作用も少ない新しい薬が開発されます。ただしこの治療を実現させるには何百億の予算と何年もの歳月が必要となります。国を挙げての事業となりますが、政府はなかなか腰を上げません。我々国民主導で腰の重い政府を動かさないと、がん治療はなかなか進展しないでしょう。このままでは世界から取り残されてしまいます。

『がん治療に次の一手:それは漢方』

幸いにも、我々の身近に人に優しい免疫治療が埋もれています。それは数千年の時間を経て生き残ってきた人類の叡智である「漢方」です。近年「中医免疫治療」が見直され、多くのエビデンスも公開されてきています。広く知り渡っていないのは、この「中医免疫治療」を使いこなすには多少の知識と経験が必要となるからです。がん治療の経験が豊富で、その上に「中医免疫治療」の経験を持つ医者なら「漢方の叡智」を引き出すことができます。

がん患者さん特有の不定愁訴やがん治療に伴う様々な副作用を解決できるのも「漢方」です。更に漢方を続けていくと免疫バランスが好転して延命効果も期待できます。
がんと診断され不安で悩んでいる患者さん、がん治療の開始と共にその副作用で苦しんでいる患者さん、転移・再発を毎日心配しながら生活しておられる患者さん、仕方なくサプリメントに高額のお金を投資している患者さんは多くおられると思います。ぜひ一度ご相談に訪れてください。患者さんの偏見をなくし、正しい知識を培っていただけます。

「免疫を促進させる漢方薬」

免疫を促進させる代表的方剤

免疫を促進させる代表的方剤

一部の漢方薬には西洋薬には無い素晴らしい効果があり、体内の免疫機能を高めて、免疫反応を有利にすることによって、多くの免疫疾患やがんを抑制させることが期待できます。代表的な漢方としては「四君子湯」「補中益気湯」「四物湯」「六味地黄丸」等、どれがあなたに最適かは、専門医が漢方独特の「証」で決定します。
「四君子湯」の構成を紹介します。

「四君子湯」を構成する生薬

チョウセンニンジン

チョウセンニンジン

朝鮮半島、中国東北部に分布する多年草で、日本では長野県、福島県、島根県などで栽培されています。薬用部位の根は肥大して分岐し、5~6年栽培したものを用います。不老長寿の薬として古来より珍重され、補精、強壮、鎮静、抗糖尿病などの作用があります。

ビャクジュツ

ビャクジュツ

日本および朝鮮半島に分布する多年草です。生薬「ビャクジュツ」は本種の根茎で、健胃、整腸、利尿、止汗などの作用があります。同様の効果を期待して使われるソウジュツ(蒼朮)を用いてもよいとされています。

ブクリョウ

ブクリョウ

アカマツやクロマツなどのマツ属植物の根に主に寄生する真菌で、大きい菌核になると直径30cmにもなります。主に中国東南部にて栽培され、日本にも自生しています。生薬「ブクリョウ」は本種の菌核で、利尿、健胃、鎮静などの作用があります。

ウラルカンゾウ

ウラルカンゾウ

中国からヨーロッパ南部に分布する多年草で、去痰、鎮咳、消化性潰瘍薬などの作用があります。中国、モンゴル、アフガニスタンなどから年間数千トン以上が輸入されています。

ショウキョウ

ショウキョウ

熱帯アジアに分布する多年草で、生薬「ショウキョウ」は本種の根茎で、健胃などの作用があります。日本でいう「ショウキョウ(生姜)」は中国の「カンキョウ(乾姜)」を指すので注意が必要です。

タイソウ

タイソウ

ヨーロッパ南部、アジア西南部に分布する落葉小高木で、日本には中国から渡来し、各地で広く栽培されるようになりました。和名のナツメ(夏芽)は、その芽立ちがおそく、初夏に入ってようやく芽を出す特性を指しています。抗補体作用が報告されています。

漢方専門外来

場  所:新館2階 女性漢方外来
診 察 日:水曜日・木曜日
受付時間:午前9:00〜11:00

担当医

お名前/役職 認定医・専門医等
竹川 佳宏
(名誉院長)
日本医学放射線学会 放射線治療専門医
日本東洋医学会 漢方専門医